腸活の基本 │ 管理栄養士が教える食べ物と習慣のコツ

近年、健康や美容に関心のある方の間で定番となっている「腸活」。
腸内環境を良好に保つことは、毎日のすこやかなコンディションを維持し、内側から生き生きとした体を育むためにとても重要であると注目されています。しかし、「具体的に何を食べればいいのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。
本記事では管理栄養士の視点から、腸活の基本的な知識をはじめ、おすすめの食品や今日からすぐに実践できる食事のコツを分かりやすく解説します。正しい知識を身につけて、ご自身に合った心地よい健康習慣を始めてみませんか。
端場 愛

監修者

端場 愛

管理栄養士。中高生から高齢者まで幅広い世代の栄養管理に従事。食べ物と体の関係を分かりやすく伝えるために、栄養食育ライターとして活動中。“今日よりもちょっとだけ健康になれるような情報”を提供するのがモットー。

著者

おゆきち

育児と仕事に励むワーキングマザー。子供の食物アレルギーをきっかけに、自身で「ゆるグルテンフリー生活」を実践中。自身の体験から、無理なく楽しく続けられるグルテンフリーのアイデアや、食物アレルギーを持つお子さんとの食生活のヒントを発信。

目次
     

    そもそも「腸活」とは?

    「腸活」とは、単におなかの調子をサポートするだけでなく、腸内環境をケアし、心と体の健康を維持することを目指すものです。

    腸内細菌とは?

    私たちの腸の中には、100兆個以上もの細菌が住んでいます。それらが集まってお花畑のように見えることから「腸内フローラ」と呼ばれています。腸内フローラには、大きく分けて3つのグループの菌がいます。

    善玉菌 食べたものを消化吸収しやすくしたり、体の健やかさを維持する役割があります。
    悪玉菌 体に悪影響を及ぼす物質を作り出す。
    日和見菌 善玉菌と悪玉菌の優勢な方に味方する。

    これら3つの菌は、「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」のバランスが保たれているのが理想とされています。特に日和見菌は腸内フローラ中の割合が多いため、善玉菌を優勢にして味方につけることが、腸活にとって大切です。

    腸内環境を整えるメリット

    腸内環境を整えるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

    ・体のコンディションをより良くする
    腸には体全体の約70%の免疫細胞が集まっていると言われています。腸内環境が整うと体の土台がしっかりし、イキイキと過ごしやすくなるでしょう。

    ・肌のコンディションをサポートする
    腸と肌は密接な関係があると言われています。腸が整っていると、お肌のコンディションも整いやすくなります。

    ・穏やかな気持ちを保ちやすくする
    腸は「第二の脳」とも呼ばれ、幸せホルモンが作られる大切な場所です。腸を健やかに保つことで、穏やかな気持ちになりやすくなり、毎日を楽しく過ごすことにもつながります。

    腸内環境を整えるための食事の基本ルール

    腸内環境が私たちの体や心に良い影響を与えることがわかったところで、次は「具体的に何をすればいいの?」と思いますよね。腸内フローラのバランスを整えるための食事の基本ルールは、意外とシンプル。今日からできることを3つのポイントにまとめました。

    プロバイオティクスとプレバイオティクスを意識する


    腸活で大切なのは、善玉菌を増やすこと。そのために知っておきたいのが、「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」というキーワードです。

    後ほど詳しくご紹介しますが、プロバイオティクスは、ヨーグルトや納豆、キムチなどに含まれる、生きた善玉菌そのもの。一方、プレバイオティクスは、オリゴ糖や食物繊維など、善玉菌が元気になるためのエサです。

    この2つを一緒に摂ることを「シンバイオティクス」といいます。善玉菌を育て、善玉菌が腸の中でしっかり働いてくれることで、より効率よく腸活が捗ります。どちらかではなく両方を摂るよう意識するといいですね。

    2種類の食物繊維をバランス良く摂取する


    食物繊維には、「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があります。この2つの食物繊維をバランス良く摂ることが大切です。不溶性食物繊維ばかり摂ると、かえって便が硬くなってしまうこともあるので、野菜、きのこ、海藻、豆類など、さまざまな植物性食品を毎日の食事に取り入れてみましょう。

    【Point】水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の違いは?
    水溶性食物繊維:水に溶けてゲル状になり、便を柔らかくして便通を促したり、糖やコレステロールの吸収をゆるやかにする働きがある。
    不溶性食物繊維:水に溶けにくく、便のかさを増すことで腸を刺激し、ぜん動運動を活発にします。腸内で発酵・分解し、善玉菌の栄養源にもなる。

    こんな食生活には要注意!


    せっかく腸活を始めても、腸に負担をかける食習慣が続いていると、体調の変化を感じにくいかもしれません。こんな食生活に心当たりはありませんか?

    ・偏った食生活
    ・過度な飲酒
    ・早食いや不規則な食事

    偏った食事は、腸内細菌のバランスを崩す原因に。毎日同じものばかり食べたり、ジャンクフードや甘いものに偏ったりせず、できるだけたくさんの種類の食材を摂るように心がけましょう。お酒の飲み過ぎは、おなかのコンディションを乱す要因となることがあります。お酒を飲むときはほどほどにしたり、ぬか漬けやキムチなど腸がよろこぶおつまみを選んだりしましょう。
    また、早食いや不規則な食事も、消化に負担をかけてしまいます。よく噛んでゆっくり味わうこと、3食決まった時間に食べるだけでも、体への負担は減ります。

    腸活におすすめの食べ物と具体的な取り入れ方

    腸活に良いとされる食品はたくさんありますが、ここでは特に大切な食品を、3つのカテゴリーに分けてご紹介します。

    発酵食品【プロバイオティクス】

    発酵食品は、生きた善玉菌の宝庫。腸内環境を整える心強い味方です。

    食品 含まれる菌 特徴
    ヨーグルト 乳酸菌、ビフィズス菌など さまざまな特徴を持った菌が加えられている
    納豆 納豆菌 酸や熱に強く、生きて腸まで届きやすい
    味噌 乳酸菌、酵母菌など さまざまな菌を摂取しやすい
    甘酒 麴菌、乳酸菌など 麹菌が作り出すオリゴ糖と、乳酸菌のWパワーが期待できる
    漬物 乳酸菌など 生きて腸まで届きやすい植物性乳酸菌が含まれている

    食物繊維【プレバイオティクス】

    食物繊維は、善玉菌のエサになったり、腸内をきれいに掃除してくれたりする大切な栄養素です。

     種類  代表的な食品  特徴
     野菜類  ごぼう、ブロッコリー、さつまいもなど  「ファイトケミカル」という成分が、腸内細菌によい影響を与えることが期待される
     きのこ類  しめじ、まいたけ、しいたけなど  きのこ特有の「β-グルカン」は、健康維持に役立つことが報告されている
     果物類  キウイフルーツ、リンゴ、バナナなど  バナナやリンゴなど一部の果物には、オリゴ糖が含まれる
     海藻類  わかめ、もずく、めかぶ、寒天など  「フコダイン」というぬめり成分が、善玉菌の栄養源になる
     穀類  玄米、オートミール、大麦など  「レジスタントスターチ」という難消化性デンプンは、善玉菌のエサになる

    オリゴ糖【プレバイオティクス】

    善玉菌のエサとなるオリゴ糖は、私たちの身近な食品に含まれています。ぜひ積極的に取り入れてみましょう。

     種類  代表的な食品
    野菜 たまねぎ、ごぼう、たけのこなど
    きのこ類 きのこ類全般
    豆類 大豆
    乳製品 ヨーグルト、牛乳など

    毎日の食事に簡単に取り入れるコツ


    腸活に役立つ食べ物を、すべて覚えて食事に取り入れるのは至難の業です。ですが、難しく考える必要はなく、ざっくりと植物性の食品、乳製品(ヨーグルト)を摂ることを意識すればOK。1日のうち、これならできそう!という簡単な例を一緒に見ていきましょう。

    朝食:いつものヨーグルトにきなこやバナナをトッピングする。
    昼食:定食の汁物は味噌汁を選ぶ。インスタント味噌汁でも◎
    夕食:納豆を夕食の1品にする。

    ほかにも、ぬか漬けやキムチを1日のうちのどこかで食べたり、小分けのもずくを食べたりと、ちょっとしたことからでも十分です。まずは、腸活に役立つ食べ物を何か1つでも、取り入れる習慣を身につけるといいですね。

    無理なく腸活を続けるための3つのコツ

    腸活は一度きりではなく、自分のペースで楽しみながらコツコツ続けることが何より大切です。ここでは、無理なく腸活を続けるための3つのコツをご紹介します。

    コツ1. 完璧を目指さない

    「3食すべて腸活メニューにする」など、ハードルを上げ過ぎると、続けにくくなってしまいます。まずは「週に3回は発酵食品を食べる」や「お菓子を食べる代わりに、週1回はバナナを食べる」など、小さな目標から始めてみましょう。達成できたときには自分を褒めてあげることも忘れずに。

    コツ2. 腸活食品を常備する

    腸活は「しなければならない」と思うと、負担に感じてしまいます。気軽に腸活に取り組めるよう、すぐに使える腸活食品を常備しておきましょう。例えば、ヨーグルトや納豆、もずく、キムチなど。調理が必要なものではなく、すぐに食べられる食品がおすすめです。これらが冷蔵庫にあるだけで、忙しい日でもパッと腸活メニューを作れます。

    コツ3. 時間がかかることを知る

    腸活は、すぐに劇的な変化が表れるわけではありません。最低でも2週間から1ヵ月程度は必要だと知っておきましょう。そして大切なのは、日々の自分の体の声に耳を傾けること。朝起きたときのおなかの調子や、肌のコンディション、気持ちの変化など、些細な変化にも気づいてみましょう。

    まとめ:あなたの腸内環境は、日々の選択で変えられる

    腸活は決して特別なことではありませんし、難しく考える必要もありません。「まずはヨーグルトを食べることから始めてみようかな」「お弁当にインスタント味噌汁をつけよう」など、できることから少しずつ取り組んでみましょう。続けるうちに少しずつ体調の変化を感じられたら、きっと腸活がもっと楽しくなるはずです。ぜひ、あなたができることから取り組んでみてくださいね。

    端場 愛

    監修者

    端場 愛

    管理栄養士。中高生から高齢者まで幅広い世代の栄養管理に従事。食べ物と体の関係を分かりやすく伝えるために、栄養食育ライターとして活動中。“今日よりもちょっとだけ健康になれるような情報”を提供するのがモットー。

    著者

    おゆきち

    育児と仕事に励むワーキングマザー。子供の食物アレルギーをきっかけに、自身で「ゆるグルテンフリー生活」を実践中。自身の体験から、無理なく楽しく続けられるグルテンフリーのアイデアや、食物アレルギーを持つお子さんとの食生活のヒントを発信。

    前の記事へ

    食物アレルギーの原因と症状|年齢・アレルゲン別の違いを管理栄養士が解説

    次の記事へ

    小麦アレルギーの心配を減らす!食べられるものと代替食品の選び方